CONTACT
【レポート】プロジェクトデザインラボ 第5回 <経営を企画する> 山崎大祐さん×中川敬文さん
GINZA/REPORT
2017.09.16
プロジェクトデザインラボ 第5回のレポートです

プロジェクトデザインラボ <企画の立て方のナレッジシェア講座> 第5回。

ゲストに、山崎大祐さん株式会社マザーハウス取締役副社長)、中川敬文UDS株式会社代表取締役社長)を迎え、「経営を企画する」をテーマにトークセッションを行いました。
――講師 新井 宏征さん株式会社スタイリッシュ・アイデア代表取締役)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

山崎さん×中川

ゲストのお二人は、創業者とともに、会社の経営に取り組まれている経営者。

山崎さんは、マザーハウスの創業者、山口絵里子さんとは大学のゼミの先輩と後輩の関係。

最初の出会いとなったゼミの入籍試験では、試験官だった山崎さんは、山口さんを「全くロジカルでなく、落とそうと思った」そうですが、「夢は何ですか」という質問に「総理大臣になって、世界の教育を変える」と答えたのを「面白い」と感じ、入籍許可を出したと語ります。

社会人となってからも、途上国の開発援助に取り組みながら「開発や援助だけでは自立を生まない」と感じ、バングラディッシュのバックを持ってやってきた山口さんに、山崎さんは「途上国の人々のためにバックを売るのなら、会社をつくらないといけない」とアドバイス。それが、マザーハウスの立ち上げにつながったとのこと。


・「何のために働くのか」という問題意識
・ものを売り、ものをつくることを「楽しい」と感じる仕事との相性
・想いをともにする仲間と一緒に働きたいという想い

会社立ち上げから11年、会社を経営するなかで、大切と感じたことを挙げていただきました。

続いて中川の話は「しくじり先生風」という自身の経歴から。

コンサルティング会社に勤めていた26歳のとき、新潟県上越市で当時、日本最大のショッピングモールの開発案件を手掛け、そのまま現地のスーパーの店長に就任。

業績好調で突き進むも、破産危機を経験。その時、「事業の企画だけでなく、経営もわかっていないといけない」ことを実感したと言います。

特に「身近な人から辞めていってしまった」、でも「店頭スタッフたちが残ってくれた」おかげで営業を続けられた経験から人事に関心を持ち、「人がいれば、つぶれてもやれる」という考えを持ったとのこと。

その後、UDSに転職。創業者の梶原、設計部隊を率いる中原と、「企画の梶原」「運営の中川」「設計の中原」と分業体制で会社の経営にあたるようになります。

しかし、「事業企画のプレイヤーであり続ける」ことも目標に掲げ、現在も事業企画、人事に取り組み続けながら、社長として会社経営にあたっています。

UDSで取り組んでいる様々な経営の取り組み、特に社内の人材教育の取り組みを紹介しながら、経営にも企画が大切であること、経営を意識することで、企画の見方が変わるとお話いただきました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

その後のトークセッションでは、マザーハウスとUDS、山崎さんと中川の共通点にフォーカスが当たりました。

社内の人材教育に力を入れているのは両社とも同じ。
特に「主観」を大切にすること、「主観が最大の差別化要因になる」と考えていることで、考えが一致しました。

そのために「対等に向き合える」「人の価値を高める」会社の仕組みづくりを行っていること、両社が経営企画として取り組んでいることが語られました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

対談に続いて、ゲストのお二人、参加者でテーブルを囲み、5つの切り口でディスカッション。

経営×海外
経営×デザイン
経営×チーム
経営×ソーシャル
経営×ビジョン

話題は自ずと「経営×チーム」に集中。

「(業績など仕事を主語にした話だけでなく)その人を主語にして話を聞く」「経営は採用と人事を間違わなければ、文化は変わらない」(山崎さん)

「その人の役に立ちたいと思うと、どうしたら良いかは、その人の話を聞かないとわからない。だから、一対一で話を聞く」(中川)

徹底して話を聞くという話で盛り上がる一方、中川から、人材採用の際には、徹底して会社や自分の話をして、それにどんなリアクションを示されるかで相手との感性の相性を確かめるという方法も共有されました。

山崎さんは、社内の取り組みとして、哲学をテーマに社員の方々とディスカッションの場を持つこともあるそうです。仕事以外の話題で意見をぶつけ合える場をつくることで、仕事でも意見を言い合えるようになると言います。

また、社外の方を迎えたディスカッションの場として、マザーハウスカレッジの取り組みもご紹介。

「主観を育てるにはどうすれば良いか」という参加者から質問に、中川は「リスクを取ると主観が湧いてくる」と答えます。

リスクを取れない人が恐れていることが多いのが「恥」。それを恐れずにアイデアを出せる、行動できる人が成果を残せる、良い企画をつくれると語ります。

さらに「親族と話す」ことも秘訣とのこと。自分が好きなこと、親族と話して良いと思ったことだったら、リスクを取りに行ける。自分が消費者になることも手っ取り早い方法と、キッザニアの企画に至った中川自身の話、新卒で分譲マンションを購入したUDS創業者の梶原のエピソードも話題に上がりました。

山崎さんからは、主観を持つには「喜怒哀楽、感情を大切にしてください」とアドバイスが。
「好き」という感情がビジネスにおける最大の原動力と語ります。

経営の視点から企画を考えた今回。山崎さん、中川、双方の具体的な事例紹介も惜しみなくもたらされ、企画に対する見方がぐっと拡がり、そのために一人ひとりの自身の在り方も問い直された夜でした。

お二人とも、貴重な時間をありがとうございました。

■ 次回、いよいよ最終回!【限定3名】最終回のみの参加者募集中!
第6回 9月22日(金)19:00-21:30 <まちづくり・デザイン・食のプレゼンテーションパターン>

井庭 崇さん(慶應義塾大学SFC 総合政策学部准教授 / 株式会社クリエイティブシフト代表取締役社長)
関口 正人さん(株式会社 THINK GREEN PRODUCE代表取締役)
新井 宏征さん(株式会社スタイリッシュ・アイデア代表取締役)

講座費(最終回のみ参加):7,000円 (税込)
日時:9月22日(金)19:00-21:30/150分
定員:3名(予定)
会場:コワーキングスペースLEAGUE銀座 (中央区銀座3-11-3)
申込:https://goo.gl/forms/991pUsndUeDzkZX43
応募者多数の場合は、事務局にて選考させていただく場合がございますのでご了承ください。