【インタビュー vol.3】株式会社スタイリッシュアイデア 代表取締役 新井宏征さん

GINZA

Sep 08, 2017

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Sep 08, 2017


代表取締役社長 新井宏征さん
(産業技術大学院大学 非常勤講師)
東京外国語大学大学院修士課程修了(応用言語学専攻)/TOEIC 990点(満点)。R&Dから市場撤退までを見据え、長期的視点でアドバイスができるイノベーションコンサルタントとして活躍。神奈川県横浜市生まれ。東京外国語大学外国語学部欧米第一課程英米語専攻。Saïd Business School Oxford Scenarios Programme修了。世界トップのソフトウェアベンダーであるSAPに入社。2013年に独立。プロダクトを見る目、ビジネスとして成立する「製品にするための要件」を熟知し、シナリオプランニングの観点から企業のイノベーションを次々と支援。「これだけ動きの早い時代に何から手をつけていけばいいのかがわかった」、「新しい手法を社内に浸透させていく方法がわかった」など経営者や研究開発担当者からの信頼も厚い。
■株式会社スタイリッシュ・アイデア HP http://www.stylishidea.co.jp/

「シナリオプランニング」を事業として展開され始めたきっかけを教えてください。
私は最初、ITソフトウェアの会社に就職し、その後、シンクタンクに転職しました。その時に「シナリオプランニング」という手法を知りました。ただ当時は、パラパラと本で読むくらいで、本格的に勉強を始めたのは、2013年に独立してからです。
独立する以前にプロダクトマネジメント(製品管理)に関する本の翻訳を行い、独立後、プロダクトマネジメントのコンサルティングを主に行うようになったのですが、2013年に、いろいろなきっかけが重なって、イギリスのオックスフォード大学で「シナリオプランニング」を集中的に学ぶコースを受講しました。

「シナリオプランニング」とそれまで手掛けられていた「プロダクトマネジメント」に共通点はありますか。
「シナリオプランニング」も、「プロダクトマネジメント」も、直近の売上だけを気にするのではなく、顧客や社内などに与える価値を前提にして自分たちの事業を考えるという点が共通していると思っています。現在も「シナリオプランニング」と「プロダクトマネジメント」の2つを大きな柱として事業を展開しています。

「シナリオプランニング」を始める前と、始めた後で、どんな変化がありましたか。
良いお客様に恵まれやすくなりました。10年後を考えて行動するって、はっきり言って面倒くさいですよね。でも、あえてそういうことをする人は、物事をしっかり考える人たち、真剣に考えている人たちが多いと感じます。「これをやれば儲かるからやろう」と、目先のことだけを考えているような人はいなくなりました。

新井さんはご自身で、「シナリオプランニング」を教えることできる人を育てる「シナリオプランナー養成講座」を主催されていますが、その取り組みではどんなことを感じてらっしゃいますか。
自分自身、有名ではないし、「シナリオプランニング」自体も、始めた当時は、今ほど知られてもいないし、勉強会や公開セミナーを開いても、ただ話を聞いてもらって、それ以降には発展せず、終わってしまっていました。しかし次第に「2年前に講座を受けてくれた人が来てくれる」というように時間を超えてご縁がつながることが起こりはじめました。「シナリオプランニング」自体、長い期間を考えることを目的としているため、公開セミナーに参加して、取り組み始めて、しばらくしてから、また知りたいと思うことが出てきているのかもしれないなと思っています。こういう経験と自分で事業をやってきたことをあわせて考えると、物事を行うには時間をかけることが大切だと思いました。

これまで印象的だったお客様を教えてください。
石材業界の方々です。1200近い事業者の方々が所属している団体で、皆さん、石材を加工したり、販売したりしている業者の方々です。ただ近年、「お墓は買わない」という選択肢も広まり、業界として、先行きに危機感を感じてらっしゃいます。1年ほど前からお付き合いさせていただいていますが、皆さん非常に熱心に取り組まれています。
お客さんとして、やはり「明るい未来を見たい」とは思ってらっしゃいますが、熱心な方ほど「自分たちにとって都合の悪い未来も見なくてはいけない」という意見をお持ちです。
自分で気づけるような状態をつくれるかどうかが、お手伝いする側としては勝負だと思っています。コンサルティングを生業とする人の中には、無理やり水を飲ませようとしてしまう人もいますが、水場まで連れて行って、「飲んでみると良いよ」という接し方ができるのが良いと思いますし、そう心がけています。要するにいかに「自分事」にしてもらえるか、そのためのご支援をするのが自分の役割かなと思っています。
 どんな手法を使ったとしても、いきなり黒から白に変わるようなことはありえません。グレーの状態を経て、行ったり戻ったりしながら、それぞれのペースで納得しながら変わっていく過程を、どれだけ大切にできるかだと思います。

「プロジェクトデザインラボ」には講師として、ご登壇いただいています。ラボの講師を引き受けていただいた思いを教えてください。
「シナリオプランニング」はツールでしかありません。「これをやれば変わります」という即効性のあるものでもない。「シナリオプランニングがあれば全部解決」ということはありません。シナリオプランニングでは10年後といったような長期の未来を見ます。未来を見て、「こういう未来にしたいから、今こうしたい」と未来から今を考えていきます。
最近になって「世界を変える」というような想いを聞くことが増えてきたと思いますが、漠然と「世界」を変えるというのではなく、自分を変え、自分の周りを変えていく。そうやって目の前のことをしっかり行っていき、結果としてより良い未来に近づいていたというくらいの方が現実的だし、個人として実感を持ちながら日々の取り組みを行っていけるのではないかと思っています。そういう過程で、目の前と未来のことのバランスを持つこと、それが大切だと思います。
 今回のラボでも、各回に締切があって、短期で成果を求められますが、「この先に何があるのか」それを考えること、「こういうことをして、あそこにつなげるんだ」という長期と短期の両方の視点を持ち続けることを、参加者の方々には大切にしていただきたいです。

新井さんはラウンジ会員としてLEAGUEに入会され、今ではブース会員になられています。普段LEAGUEをご利用されるなかで、面白いと思う点を教えてください。
気分や都合に合わせて、場所を変えられるところです。ブースを持ち始めてからですが、まず3Fに自分の部屋があって、1Fにカフェがあって、2Fにはラウンジがあって、選択肢があるのが良いですね。
 ワークショップは色々な人と話しながら行うので、他の方の力を借りやすいのは、ありがたいことです。LEAGUEを卒業するイメージはまだ持っていませんが、究極的には、ワークショップができるくらいの広めのオフィスを持って、そこで「ちょっとやってみましょうか」と、セッションを始められると良いなとは思っています。
 LEAGUE有楽町のキックオフに参加してお会いした方と、今一緒に、あるプロジェクトを進めています。LEAGUEは色んな人が集まって、未来のことを考えられる場だと改めて感じました。LEAGUEを通じて培ったものを、イベント等でLEAGUEから発信していくという動きは、より活発にしていけるのではないかと思います。そんな意味でも、普段から利用しているLEAGUEで新たな試みとしてスタートしたラボのうちの1つ、「プロジェクトデザインラボ」にお声かけいただいたことは、本当にありがたく思っています。ラボの取り組みを通じて、LEAGUEを盛り上げていく力になれればと思います。